新商品のご案内 「桑名の千羽鶴(連鶴)」
折り紙と言われると、多くの方は「鶴」を連想されることと思います。
正月飾りに用いられる「祝い鶴」や、病気平癒の願掛けでおなじみの「千羽鶴」など様々なシーンで目にする折り鶴ですが、今回「和がみ屋 いぃざぁ」にてご紹介させていただくのは江戸時代に桑名の僧侶が考案したという「連鶴」であります。
三重県桑名市で継承される折鶴
紙漉きが日本に伝わった頃、折り紙は御幣のような神祭用具に使われるのが一般的でした。
現在のように、遊び道具として親しまれるようになったのは江戸時代に入ってからだと言われています。
紙が庶民層に普及することで、連鶴をはじめとする様々な芸術作品が織り上げられるようになったのです。
こちらの三羽並んだ折り鶴、写真ではわかりづらいですが、実は1枚の紙から作られています。
この作品の場合、尾の部分から次の鶴へ、そのまた次の鶴へと繋がっているのです。
こちらは羽の先から繋がっているタイプ。
上の作品と同じく、子鶴へと繋がっている部分はやはり僅かなものですが子鶴が宙に浮いている事もあり、より繊細で優美な印象を受けます。
中にはこのように複数の鶴が重なり合った作品もあります。
一見すると皆様よく御存じの、糸で繋がれた「千羽鶴」にも通じる折形と言えますが上段に行くほど鶴が小さくなっており、とても1枚の紙から折られているとは思えません。
また、それぞれの鶴の折り方には名前が付いています。
上から「稲妻(いなづま)」、「呉竹(くれたけ)」、「迦陵頻(かりょうびん)」となっておりこちらは連鶴の考案者である桑名・長円寺の住職「魯縞庵義道(ろこうあんぎどう)」がそれぞれの形から来るイメージによって命名したもののようです。
名前を思い浮かべながら写真を見ると、また違った姿が見えてくるのではないでしょうか。
越前和紙と連鶴のつながり
最高で97羽もの鶴を、1枚の紙に切り込みを入れることで繋いでいく連鶴。
大胆でありながらも複雑なその形を再現するには、強い紙の存在が不可欠です。
そこで用いられるのが楮や三椏、雁皮など、絡み合った繊維が強度を生む和紙なのです。
力強いその成形にも耐え得る越前の上質な和紙は、連鶴作りに最適な紙であると言えるでしょう。
日本固有の文化として脚光浴びる折紙
義道は18年に及ぶ歳月を費やし、百品五百羽もの連鶴を考案したと言われています。
それらを書き留めた著書「素雲鶴(そうんかく)」は残念ながら現存しておらず、多くの折形は永遠に失われてしまいました。
しかし同時期、「素雲鶴」の中から選別したと思われる49種類の折形を紹介した書物、「千羽鶴折形」が刊行されており、この本が伝承されたため「桑名の千羽鶴(連鶴)」が現代に甦ることができたのです。桑名市は「桑名の千羽鶴」を無形文化財に指定しており、後世に伝え残していくだけでなく、日本文化啓蒙を担う産業として期待を寄せています。
贈答・鑑賞用として購入される以外に、実際に折ってみたい、もっと連鶴について知りたい、という方もおられると思います。そんな方向けに、解説書も用意されております。
こちらは桑名市指定「桑名の千羽鶴」技術保持者である大塚由良美(おおつかゆらみ)様の著書です。
49種の連鶴の折り方だけでなく、連鶴及び義道についての歴史資料などが書き記されています。
実際に折ってみた画像がこちら。中段が普通に折った鶴で、上下段が連鶴です。
芸術的な作品を見ていただいた後にお目汚し恐縮でございますが、そこはご愛嬌という事で・・・
自分で折ってみると、使う紙の重要性に気付かされました。
強度の強い和紙を使わないといけないのはもちろん、見た目の華やかさも大切な要素ですね。
作品同様、解説書も「いーざぁ」にて販売させていただいております。
興味を持たれた方は、是非とも合わせてお買い求めください。